近年注目されている「骨盤」。
内臓を支える役割や、アンチエイジングにもその重要性が声高に叫ばれています。
その背景には、デスクワーク比率の増加など、「座りながら」の仕事が増えて来たことが原因の一つともされていますね。
当記事では、その「骨盤」の健康維持について掘り下げていきます。
その痛み、どこから?
骨盤の重要性とは?
色々なメディアで既出かも知れませんが、今一度骨盤の役割をおさらいしてみます。
骨盤の役割は主に4つに分けられます。
①生殖器や内臓を守る。
→骨盤の中には生殖器や内臓が収納されています。骨盤はそれらを守り、支える役割を持っています。もし骨盤が歪んでしまうと、収納されている生殖器や内臓に負荷がかかります。
負荷がかかる事で、内臓疾患や生殖器の機能不全にまでつながる事もあります。
特に女性は「子宮」がすっぽりと骨盤の中で守られている為、歪みはそのまま子宮への負荷に繋がります。子宮に負荷がかかると生理痛の悪化などの女性特有の症状が発生しやすくなります。
②衝撃の吸収。
→人間は歩きます。歩くと必ず衝撃が発生します。
骨盤はその衝撃が上半身まで及ばないようにブロックしている骨です。
③上半身を支える。
→骨盤には背骨が繋がっています。
そして背骨には頸椎(けいつい)が繋がっており、骨盤を中心に骨のバランスが維持されています。
しかし骨盤が歪んでしまうと、普段使わないような部分の筋肉に体重がかかってしまい、体の至る所で痛みや不調が表れてしまいます。
④正しい姿勢で座れる
→骨盤の一番下の部分の骨を「坐骨(ざこつ)」と言います。
この坐骨は座る際に大きな役割を持っています。坐骨があることで上半身を支え、身体に負担がかからないようにしています。
あなたの骨盤、歪んでいませんか?チェックリスト
これほど重要な役割をもつ「骨盤」。
しかし病院でレントゲンを撮ってもらわない限り「歪んでいる」というのは判別できません。
簡単なチェックリストで自己診断をしてみましょう。
結果・・・YESが5個~10個「多少の歪みがある可能性あり」、10個以上「歪んでいる可能性大!」
このチェックリストは主に女性向けのチェック項目が多いですね。
それだけ、女性の皆さんに「骨盤の歪み」は重要な問題であるという事です。
骨盤の歪みが体に及ぼす影響とは?
骨盤の歪みが体に引き起こす影響は、大きく分けて二つ。
「体質への影響」と「身体のバランスへの影響」の二つです。
それぞれを簡単に説明していきますね。
体質への影響というのは、前述したチェックリストにもあった「むくみ」、「冷え症」、「生理痛」、「肩こり」、「腰痛」などを指します。
これらの症状は骨盤の歪みだけが原因で起こるものではありません。
しかし、症状がよりひどくなる引き金になっているのが「骨盤の歪み」でもあります。
「生理通」を例にとりましょう。
骨盤が歪むと、子宮や卵巣、その周辺の血流やリンパの流れを妨げてしまうため、生理中の痛みがよりひどくなってしまう事が分かっています。
また、なかなか改善しない「肩こり」や「腰痛」は、骨盤の歪みが体全体の骨格に影響を与えることで発生している事もあります。
では身体のバランスへの影響を説明します。
先程「肩こり」、「腰痛」について述べましたね。
チェックリストの前半部分に「左右の肩の高さが違う」という質問がありました。
これは骨盤の歪みが身体全体に影響を及ぼし、身体が傾いた状態になっている事を指しています。
「猫背」も同じような事が言えます。
骨盤が歪む事で、背骨を曲げた方が楽な姿勢になってしまいます。
人間は身体の負荷を弱める為に体のどこかで楽な体勢を取ろうとします。
骨盤が歪んで、肩こりや腰痛を軽減する為に変化した体勢が、結果的に「猫背」を選択していると言えます。
また骨盤の歪みから「猫背」になると他の症状を引き起こします。
最近問題になっている「うつ病」もその一つ。
猫背になると頸椎が歪みはじめ、自律神経系のバランスを崩したり、脳へ血液の循環が行きづらくなったりします。すると、脳はストレスを感じやすく発散しにくい状態になり、心疾患につながってしまうという仕組みです。
他にも色々な疾患や身体的問題が起こり得る「骨盤の歪み」。
特に「座りながら」仕事をする人にとっては、長く向き合うべき問題です。
次の項では、そんな「座りながら出来る骨盤ストレッチ」をご紹介します。
座っていても出来る骨盤ストレッチ4選
正しい座り方とは?
まずは基本の姿勢を意識しましょう。
座り方一つで骨盤の位置が矯正され、エクササイズで得た効果を最大限に発揮できます。
骨盤ストレッチでよく言われる言葉が「骨盤を立たせる」という一言。
簡単にいうと「骨盤と地面を平行にすること」です。
立った状態の骨盤の状態です。
まずは立ち上がった状態で、「骨盤を立てる」事を意識してみましょう。
骨盤を立てた後は、そのままの姿勢をキープして椅子に座ります。
これが骨盤ストレッチの第一歩です。
まずはこの正しい座り方を意識した上で、ストレッチを行いましょう。
基本姿勢を維持出来なければ、いくらストレッチをしても意味がありません。
単なるマッサージになってしまい、根本の原因である骨盤の歪みを治すことは出来ませんのでご注意を。
座りながら出来る簡単腹筋エクササイズ
骨盤のエクササイズを行う際に最も使う筋肉はどこでしょうか?
人によって大きく2つに分けられます。
反り腰(骨盤前傾)タイプの人と、骨盤後傾タイプの人です。
反り腰タイプの人は「骨盤」が前に傾いているので、背中は伸びているように見えますが、お腹が前に出てしまっています。お腹が前に出てしまうと、筋肉が緩み、お腹のたるみにもつながります。
そんな人は「腹筋」を鍛える必要があります。
わざわざジムに通って腹筋をしますか?家で腹筋〇〇回と目標を定めて自主トレしますか?
よほどの強い意志がない限り続かないのが「自主トレ」です。
仕事中にも出来るような簡単な呼吸法エクササイズがあります。
①お腹の横側を膨らませるイメージで、鼻から息を吸う。
②「はー」と口を大きく開けて口全体から息を吐きだす(声は出さなくてOKです。)
これを1日5分間だけ行います。
慣れるうちは腹筋に結構な負荷がかかりキツイかも知れません。
しかし、キツイという事はそれだけ腹筋が発達していない証拠でもあります。
この呼吸法では腹筋の中の「腹横筋」を鍛えるエクササイズです。
この筋肉を鍛える事で、腹筋と背筋の両サイドから背骨を支える事になり、骨盤に余計は負荷をかける事が少なくなります。
正しい座り方をしていれば、自然と骨盤が立つようになってきます。
膝伸ばしストレッチ・エクササイズ
先程の呼吸法エクササイズでは「反り腰タイプの人」向けのトレーニングでした。
今回は「骨盤後傾タイプの人」向けのエクササイズをご紹介します。
このタイプの人は「腸骨筋」と「大腰筋」を鍛える必要があります。
この二つの筋肉は合わせて「腸腰筋」と呼ばれており、骨盤を立てる役割をもった筋肉です。
エクササイズはこちらをご覧ください。
椅子に座ったまま基本姿勢をキープ(骨盤を立てた状態)して行いましょう。
左右それぞれ5秒キープ×10回を1日1セット行います。
仕事用のデスク次第では仕事中でも出来そうなエクササイズですね。
この腸腰筋が鍛えられると、骨盤を立たせる基本姿勢が楽に取れるようになります。
猫背解消ストレッチ
骨盤の位置が前傾であっても後傾であっても、必ずと言っていいほど猫背になっている方が多いです。
前述した通り、猫背は「百害あって一利無し」の姿勢です。
最初の内は楽かも知れませんが、その姿勢に慣れてくると骨盤の歪みがひどくなり、肩こりや腰痛を引き起こす原因にもなります。
このストレッチのコツは「肩甲骨」を意識する事です。
肩甲骨を動かさないと、猫背が治りにくくなってしまいます。
絶対にやってはいけない行動3つ
これまでいくつかのエクササイズ&ストレッチを紹介しましたが、その逆で「やってはいけない」行動があります。
①片足に体重をかけて立つ。足を組んで座る。
身体の重心が傾く要因の一つです。特に「足を組んで座る」のは、骨盤の重心をずらす一番の要因です。
セクシーかも知れませんが、長期的に見ると「反セクシー」な姿勢であることは、皆さんもうお分かりですよね。
②奥行のあるソファに寄り掛かるように座る。
家に帰って「疲れたー!」と言いながらソファに座る行為。
ドラマなどでよく見かけるシーンですが、これは骨盤ストレッチの敵です。
骨盤後傾の原因になります。
ソファに座るときはクッションを背中とソファの間にはさんであげると、楽に骨盤を立たせることが出来ます。
③(座った状態で)暗い中で本を読む。スマホを長時間触っている。
現代日本の猫背率を上げたのは「スマホ」と呼ばれるほど、スマホを使用している時の姿勢は骨盤や猫背の大敵です。
背中は伸びているのに首だけが前傾姿勢になってしまいますよね。
それが結果的に頸椎に負担をかけ、背骨にも負担をかけ、最終的に骨盤にまで影響が及びます。
エクササイズをしてもこれらの行動をとってしまってはプラスマイナス0(ゼロ)いやむしろマイナス面の方が強いです。
健康的な骨盤を手に入れたいのであれば、普段の生活習慣を見直すことも重要だという事です。
まとめ
骨盤矯正と言っても、昔は整骨院やマッサージ師などの専門医がケアする症例でした。
しかし、その専門医の数以上に患者が増えた昨今。
自分でエクササイズをすることで、症状の改善が見込める事も判明しました。
忙しい現代人にはこれからもどんどんと多くなっていく症状であると専門医は口を揃えています。
健康的な生活は「骨盤」から。
忘れないようにしたいものですね。